生産技術ってどんなところ?

私は2013年の3月まで、大阪の製造業の生産技術という部署で電気技術者として正社員で働いていました。いわゆるものづくりというやつです。今回はそれについて吐き出します。

①製造業の仕組み
製造業というのは実際に形のある物を作る仕事です。私が勤務していたのは大阪に本社がある輸送機器の大手企業で、その中の生産技術部というところで働いていました。
製造業の主な部署は生産技術、製造、品質管理になります。他にも広報や人事や総務などがありますが、最低限製造業に必要なのは生産技術、製造、品質管理です。開発もいるだろうという意見もあると思いますが、それは昔の話です。台湾のEMS(電子機器受託製造)の超大手であるフォックスコンサムスンAppleが開発設計したデータを元にGalaxyやiPhoneフォックスコンに製造委託しています。昔はOEMといって、サンヨーが開発して製造したものをパナソニックの看板で出すということをやっていましたが、それとは全く異なります。だから、現在では製造業のコアは、生産技術、製造、品質管理になります。

それぞれの部門ではどのようなことが行われているのか。

生産技術ー設計図を元にどのような方法、手段で製造すれば、コストや納期を実現できるかを考えて、そのための機械設備を設計、製作する。また、コストを下げるための改善も業務の一つである。新規設備立ち上げ、設備改造、改善の3つが主な仕事です。オフィスと工場を行ったり来たりする水色労働者。

製造ー生産技術が考えた方法で、実際にオペレーター(操作手)が機械設備を運用して、物を作る部門。工場の中で働いている人はこの人達が多い。

品質管理ー製造された完成品を検査して、設計通りの能力が出るかを測る部門。生産技術や製造からすると、何も作ってない人達だが製造業ではかなり大事な仕事をやっている。ここの能力が低いと、どんないい製品を作っても故障続出したり、不良品ばかりになる。

これらの3部門に貴賎はありません。どこが劣っても、まともな製品は作ることができません。

②生産技術について
私はこの生産技術に所属していました。防大時代は応用物理学を勉強していたので、工学は構造力学くらいしかわからなかったのですが、新卒で入社して配属されたのがこの部署でした。そこで、製品を製造するための機械設備の電気技術を担当していました。
機械の電気なので機電と言われたり、電機と言われたりもします。自分たちでは電機だと思ってました。
 工業高校や高専、大学などの学科で言うと、電気電子に当たります。

生産技術という部門では大きく二つに分かれます。材料を加工するプロセス技術と材料を加工するために移動させる搬送技術です。プレス、熱処理、カーボンファイバー、金属表面処理などなどはプロセス技術にあたり、機械設計製作立ち上げなどは搬送技術にあたります。

製品の出来に直接関係するのはプロセス技術の方であり、搬送技術は早かろうが遅かろうが、直接製品の出来には影響しないため、プロセス技術の方がより多くの予算や権限を持っていました。これは日本のものづくりのプライドである「いいものを作れば買ってくれる」という考え方が根底にあるからです。現在の製造業の主戦場は後進国に移っていて彼らの消費意識は「機能より安さを優先する」という考えが強いです。日本の製造業の売り上げが下がっているのはこの商品に対する優先順位のギャップがあるからです。

私は搬送技術側でした。現在では上述した理由により、製品のコストを大きく左右する搬送技術の方がかなり大事になってきているように思います。
搬送技術の元祖はフォードのベルトコンベアです。文字通り物を移動させることが目的です。

③ロボットについて
私が入社したころはアームロボット(腕だけのロボット)が少しだけあっただけで、物の移動は簡単な空気圧シリンダを使って決まった動きをする機構が搬送の主流でした。しかし、すぐにロボットの価格が安くなり、現在では猫も杓子もロボット化しています。
アームロボットの利点は2つあります。

ー動き、アームの変更が早い・簡単
ー24時間操業可能、壊れにくい。

これらの利点から現在の日本の製造業では、ミスが多く、賃金が高い労働者の代わりにロボットが搬送のために実装されています。

3年前には台湾のフォックスコンが200万台ロボットを入れるとか大口を叩いていましたが、私はそのニュースを聞いて絶対無理だと思いました。なぜならロボットは立ち上げてプログラミングして、ティーチング(移動するための座標を入れる)作業が必要になります。これらは人間でなければできないのですが、それをするロボット技術者が200万台もやりきるだけいません。その後この話は音沙汰を聞きません。

日本の国内の工場ではロボットが増えています。ロボットが増えるということはいくら工場が国内にあっても、工場で働く労働者が減って行くので、日本にはお金が落ちないことになります。儲かるのはロボットを製造している企業です。
これから人間がやる仕事はどんどん減って行きます。知能ロボットといって、画像処理で自分で判断する(とはいえプログラム通りに動くだけなので、知能じゃないですが)というロボットもあり、人間ができる仕事はロボットによって減らされています。残るのは一部の職人しかできない高度な技能だけになります。

これから目指すべきなのは、高度な技術を持った職人かロボットの技術者がいいです。この二つの職業はとうぶんの間は、食いっぱぐれることはないです。反対にロボットでもできる又はできそうな仕事はどんどんロボットに置き換わります。ロボットが大量に生産されればされるほど、価格は下がって行きます。

④正社員と契約社員派遣社員の違い
私が働いていてアホだなあと思ったことは、正社員と契約社員派遣社員で能力に差がないのに、契約社員派遣社員は、正社員より大幅に安い給料で働いていたことです。
同じ能力なら賃金が安い方がいいに決まっています。でも派遣社員には自由な時間が満喫できるじゃないかという意見もあると思いますが、私が働いていたところでは派遣社員も正社員と変わらず、多くの残業をしいられていました。派遣社員だから毎日夕方5時に帰れるというこはありませんでした。

そもそも正社員という名前が気に食わない。じゃあ、他の契約社員派遣社員は正しくないのかということになる。ほんとーにバカなシステムです。

⑤製造業のノウハウ
私が製造業で働いていたのは、防大を卒業して何をしようかという具体的な案がなかったので、とにかく日本を理解しようと思ったからです。製造業は日本では唯一外貨を稼いでいる稼ぎ頭です。専業主婦家庭のお父さんです。でも、日本国内での評価は高くありません。まるで、給料を稼いでいるお父さんが家の中で邪魔者扱いされているようです。
別に偉くなりたいというわけではなく、そういうシステムに興味がありました。また、製造業では昔ながらの年功序列が残っている会社も多いので、年功序列システムも体験しておきたかったのです。

また、入社前には日本の製造業には優れたノウハウがあるにちがいないと思っていました。実際に働くと優れたノウハウはありました。しかし、ダメなところ時代遅れなところも多くありました。
入社したてのころはそれが嫌で嫌で仕方がありませんでしたが、何年もかけて周りに働きかけていると次第に改善していったので、それはすごくいい経験ができたと思います。

製造業の技術者はもっと自信を持っていいです。おかしなことに製造業でも技術者と一般職の給料は変わりません。大学時代に理系で勉強を多くした人と文系で遊んでいた人の給料は勤務年数が同じなら給料も同じになります。
だから、大学生は勉強しないのです。同じ給料をもらうなら、大学で遊んでいた方が特ですもん。勉強して技術や資格を持っている人の給料は持ってない人より上げる、こんな当たり前のことが行われていませんでした。

⑥個人で技術交流をして技術を向上すべき
私は電機技術者だったのですが、企業が商品の使い方をレクチャーするセミナーに行くと、同業他社の人と話すことがよくあります。その時に話していて思ったのが、どこの会社でも同じ業務で遭遇するトラブル、課題は似ているということです。そこで得た経験をシェアすることで、つまらないことに時間を割くことが減ります。
異業種交流会でなく同業種交流会をして、どこでどういうふうな求人をしてるよーとか、そういうトラブルの原意はアレに違いないとか、楽して働くようにした方がいい。業界の求人も共有すれば、技術者が企業に対して交渉することもできるようになる。

私もこっそり同業種交流会をやろうと3人くらい集めてたのですが、すぐに南米に行こうという状態になったので、途中で断念しました。目の付け所は良かったと思います。
同業種交流会を主催して先輩技術者は後輩技術者を育成して行けば、もっとおもしろいことになるでしょう。


異業種交流会って技術者にとってはあまりメリットがないよねー、人生のためになったとか抽象的な自己満足は得られるかもしれないが、具体的な事例がないしわかんないから、意味がないと思う。
異業種交流会は意味ないわ。コンパか?